活用事例

株式会社TBSテレビ様 「TBSニュース」CSマスターシステム

株式会社TBSテレビ 菅野⼀樹様(左)/株式会社TBSアクト ⼩雲次朗様(中央) /株式会社TBS アクト佐々⽊恒輔様(右)

株式会社朋栄は、株式会社TBSテレビ様のマスターシステム更新に伴う設備更新のシステムインテグレーションを担当いたしました。TBSテレビ様は、新システムにて2021年8月から放送を開始しています。朋栄が、キー局(地上波・BS/CS含む)のマスターシステムを手掛けるのは今回が初となります。

求められる安定運用と保守体制/初期コスト&ランニングコストの削減

マスターシステムは冗長化

マスターシステムは、ニュース、収録番組、CM等を番組表に従って切り替えを行ったり、放送運行状況&放送品質の監視・チェック、また災害や事件時の速報やニュース割り込みなどの操作を担う、放送局の心臓部とも称される設備です。 TBSテレビ様は、ニュース専門チャンネル「TBSニュース」のマスターシステム更新を迎えるにあたり、2019年8月から新設備の検討をスタート。株式会社TBSテレビ 人事労政局(株式会社TVer サービス事業本部コネクティッドTVタスク出向)の菅野一樹様は、システム選定にあたって重視した点を次のように話しました。

監視モニター

「進化スピードが早い現在の放送技術をさまざまな角度から検証するため、4社のシステムを検討することとしました。検討時にはIP化も選択肢のひとつでしたが、初期投資に加え、サーバー利用料などのランニングコストも今は高く、時期尚早感がありました。24時間365日ニュースを放送し続けるため、何よりも安定性と継続性が大前提。それが選定ポイントです。もうひとつが、初期投資とランニングコストを抑えることでした」。 菅野様は、「朋栄の提案は、保守体制もしっかりし、かつランニングコストも抑えられている印象」を持たれましたが、朋栄のマスターシステムは、地上波キー局での採用実績がありませんでした。そこで、朋栄のマスターシステムを導入している会社様を訪問、実際に設備を見学するとともに、担当者様にヒアリングし、運用面での安定性や保守体制等をチェックしました。 「安定運用がなされ、しっかりとした保守体制があることをお聞きすることができ、地上波の大型マスターシステムと同等の安定性が確保できる」と採用理由を語りました。

ニュース専門チャンネルならではのアンタイムな編成もボタンひとつで対応

切り替えボタン(センター赤色点滅部分)

「TBSニュース」は、JNN系列28局やNY、北京など海外10支局からの最新ニュースを24時間放送。朝帯から昼、そして深夜にかけて『ウェイクアップニュース』『ストレートニュース』『イブニングニュース』『ナイトニュース』『ミッドナイトニュース』をそれぞれ放送。これらは、15分番組の“ストレートニュース”が基本編成となり、これに加えて、天気予報や討論番組などが放送されています。 この“ストレートニュース”は、朝帯・昼帯・夕方帯・夜帯・深夜帯ごとに最新ニュースがまず放送され、多くの人が最新情報に触れられるよう、同帯内にてストレートニュースがリピート放送されます。また、2022年9月17日~19日に上陸した台風14号など刻々変わる気象情報や、全国各地で災害等が発生した場合、大事件や速報を必要とするニュースが飛び込んできた場合には、即座に現場やスタジオからの生中継に切り替わり、速報として提供します。

VATICのAPC

TBSニュースのマスターシステムは、これらの放送体制と編成を考慮した設備となっています。朋栄のマスターシステムでは、APC(自動番組制御装置)はビデオ・テック社の「VATIC」を納入。従来のAPCの使用方法を踏襲し、「VATIC」を使い慣れたインターフェイスに寄せてカスタマイズし、営放システムとそのAPCを連携するためのインターフェイスとしてTVSネクストのソリューションを採用し、構築しました。 「以前のマスターシステムは10年強稼働し、使い慣れています。更新にあたり、営放システムをはじめ、既存システム間のインターフェイスもマスター側で処理することになりました。また、実際に運用されるスタッフの方々にヒアリングし、使いやすいインターフェイスや操作性となるよう、朋栄様にはカスタマイズしていただきました」と株式会社TBSアクトプロダクション 本部映像センター映像技術部副部⻑の⼩雲次朗様は説明されました。 また、番組バンクおよびCMバンクとして「MBP-1000VS」を採用。「MBP-1000VS」は、マルチチャンネルビデオサーバーで、ビデオサーバー、テロップ送出機、バーチャルシステム送出機として利用可能な共通プラットフォームとして開発されたシリーズですが、これを番組バンクとCMバンクとして活用。放送中の番組を「MBP-1000VS」にて同時録画し、その後の再放送用として利用するシステム構成を構築しています。株式会社TBSアクトステーション本部送出部の佐々⽊恒輔様は「『MBP-1000VS』には、1日分の映像が同録され、翌日には上書きされるようになっています」としています。 緊急生放送への切り替えは、「MFR-3000」などにて対応しています。「『TBSニュース』はアンタイム(※)なチャンネルです。毎日のように緊急生中継が行われ、イレギュラーな編成になります。生中継への切り替えは突発的であり、ボタンひとつで即スタジオサブからの生中継映像に切り替わることが重要。以前のシステムを踏襲し、“データ切り替えボタン”ひとつですぐに生中継映像へと切り替わるシステムを構築しています」と佐々木様と小雲様は語ります。この切り替えボタンには、「CMは出る割込」と「割込放し」の2種類を設置。「CMは出る割込」は、生放送に切り替わった場合でも、CMは必ず放送されるように自動でスケジュールされ、「割込放し」はCMも飛ばして生中継を行う場合を想定してのもの。飛び込んできたニュースの重要度等で決定します。ルーティングスイッチャーには「MFR-5000」を導入。「MFR-5000」は、3G-SDI、HD-SDI、ASI、AES、RS-422に対応したマルチフォーマットのルーティングスイッチャー。8Uサイズの筐体に最大128入力×128出力までのマトリクス構成が可能となります。
※生番組など、CMの放送時刻が確定的でない進行

朋栄の良さを発揮しつつカスタマイズで利便性を向上

マルチチャンネルビデオサーバー「MBP-1000VS」

監視用モニターには、マルチビューワー「MV-4210」と、モニター監視卓での制御用に「GearLink」を活用したタッチパネルシステムを導入されました。 今回納入されたマルチビューワー「MV-4210」はSDI出力専用モデルで、最大114ウィンドウ表示が可能。オプションで12G-SDIを最大10入力まで搭載できます。「GearLink」は、システムを構成するビデオスイッチャーや周辺機器をGUI画面上で一元的にコントロールするソフトウェア。ボタンファンクションのプログラムやサムネイルなどのパーツレイアウトが自由なGUI画面により、ワークフローを俯瞰しながらシステム機器をコントロールできます。「モニターひとつで全てを監視でき、タッチパネルでコントロールする使いやすいシステム」と小雲様は語ります。 マスターシステムはいずれもA系&B系と冗長化し、安全性を確保。また、今回の更新によって、ラックスペースも前システムの約1/2に省スペース化が図られたといいます。
TBSニュースのマスターシステムは、朋栄製品の良さと朋栄の柔軟なカスタマイズ力によって実現した。菅野様も「UIやGUIのカスタマイズ、既存システムとのインターフェイス対応、機能の追加等、今回のマスターシステムは、朋栄の良さを発揮しつつ、随所に私たちの要望を踏まえた設備」と語ります。

    ※ご回答いただいた皆様の部署名、お役職は、インタビュー当時のものです。(2022年9月)

納入システム 主な機材構成

  • マルチチャンネルビデオサーバー:MBP-1000VS
  • ルーティングスイッチャー:MFR-5000
  • ルーティングスイッチャー:MFR-3000
  • 4K/3G/HDキーヤー:DSK-400
  • ユニバーサルシステムフレーム:USFシリーズ
  • アナログビデオ分配器 (ケーブル補償機能付き):USF-1040VEA
  • アナログビデオ分配器 (ケーブル補償機能付き):USF-1100VEA
  • 3G/HD/SD対応デジタルビデオ分配器:USF-1053DDA

取材協力

株式会社TBSテレビ様
東京都港区赤坂5-3-6
WEB: https://www.tbs.co.jp/cstbsnews/

お問い合わせ

株式会社朋栄
東京都渋谷区恵比寿3-8-1
TEL:03-3446-3121
E-mail: ad@for-a.co.jp

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