活用事例

朝日放送テレビ株式会社様 バーチャルスタジオシステム

StarTrackerでカメラトラッキングの精度を向上 - Unreal Engine活用によりコンテンツ品質を改善

朝日放送テレビ株式会社
岡田光司(おかだ こうじ)氏(左・現在 愛媛朝日テレビに出向中)
技術局制作技術部 伊田俊基(いだ としき)氏

株式会社朋栄は、朝日放送テレビ株式会社様のバーチャルスタジオのカメラトラッキングセンサーとCG描画設備を更新し、トラッキングシステムの精度向上を図るとともにUnreal Engineも活用してバーチャルコンテンツの品質向上を実現しています。システムの更新を機に、グループ会社の株式会社アイネックス様と共同でバーチャルコンテンツ制作サービスを開始しています。

株式会社アイネックス様との共同バーチャルコンテンツ制作サービスについてはこちら

StarTrackerによりスピーディーな運用が可能に



(上)機材更新された朝日放送テレビ株式会社様 バーチャルスタジオ。旅番組『朝だ!生です旅サラダ』などに活用
(下)カメラトラッキングシステムStarTrackerにより、複数のスタジオで運用しやすくなり、トラッキング精度も改善

朝日放送テレビ株式会社様は、2001年にCG作画設備としてBrainstorm eStudioを導入して以来、番組制作にバーチャルスタジオ を活用してきました。2008年に現社屋へ移転して以降は、センサー取り付け式クレーンやペデスタルを使用してカメラトラッキングを行ってきましたが、2020年にカメラトラッキングシステムStarTrackerを3式導入、マーカーを活用したバーチャル運用へと戻しました。2023年には、GスタジオサブのスポーツコーダーについてもeStudioを追加導入し、バーチャル運用を活用しています。

朝日放送テレビでバーチャル制作に長年携わってきた岡田光司氏は、StarTrackerの導入について次のように話しています。

「弊社は、美術セットとCGセットの両方を使用した、ハイブリッドなバーチャル環境で運用しています。現社屋に移転した際に、それまで使用してきたセンサーは、マーカーサイズが大きいため使用できなくなり、センサー取り付け式クレーンやペデスタルのみの運用に変更していました。ただし、カメラ位置の原点を指定するキャリブレーション作業や、使用中にトラッキングがズレるため補正する必要がありました。StarTrackerはマーカーも小さく、トラッキング精度も良好です。使用中にトラッキングがズレることはないので、マーカーのマップを一度作成してしまえば、誰もがオペレーションできる バーチャルシステムになりました。」

マーカーのマップを複数保存できるStarTrackerにより、短時間でのセッティングが可能になったと話すのは、バーチャル制作に携わる技術局制作技術部の伊田俊基氏です。

「現在、A/B/Cの各スタジオと報道用のNスタジオにマーカーを設置しています。StarTrackerは運用前のキャリブレーション作業がなく、電源投入から30分もあれば運用を開始できます。美術セットを併用するかどうかによっても変わりますが、バーチャル運用だけであれば大幅に準備時間を短縮できました。」

美術セットとCGセットの良さを活かしたハイブリッドコンテンツ

Inter BEE 2024朋栄ブース用に制作していただいたバーチャルスタジオCG。Unreal Engine対応により、光の表現を活かしたCGを利用可能

2022年にはCG作画設備eStudioのワークステーションを強化し、リアルタイムゲームエンジンUnreal Engine(以下UE)対応のバージョンに更新、よりリアルなCGコンテンツを活用できるようにしています。また、カメラキャリブレーションソフトウェアifCalib2を使用してカメラレンズの収差を補正することで、CG背景と美術セットの合成をより自然に馴染ませることが可能になりました。

朝日放送テレビ様では、バーチャルコンテンツの制作をグループ会社の株式会社アイネックス様に依頼しています。現在、毎日のニュース番組や毎週の旅番組『朝だ!生です旅サラダ』のほか、『熱闘甲子園』などの季節イベント番組でもバーチャル運用を活用しています。

「2023年に、朝日放送テレビの美術部門が、アイネックスへ移管されました。これまでも美術セットとCGセットの両方を活用してきましたが、制作がアイネックスに一本化されたことで、よりリアルとバーチャルのハイブリッドなコンテンツを制作しやすくなりました。Brainstorm、Unreal Engineの特長を活かしながら、フルバーチャルのコンテンツを増やせるように取り組んでいきます。」(伊田氏)

納入システム 主な機材




活用事例

朝日放送テレビ株式会社様/株式会社アイネックス様
バーチャルコンテンツ制作サービス

放送局・制作会社のバーチャルスタジオ運用をサポート - 背景CG制作をはじめ運用までを担うコンテンツ制作サービスを開始

バーチャル運用をより手軽に。各種番組に応じた背景CGや素材などの制作をサポート

朝日放送テレビ株式会社様のグループ会社である株式会社アイネックス様は、系列局のリアルセット/バーチャルセットを併用するハイブリッドスタジオの背景CGを制作したことを機に、各放送局や制作会社に向け、バーチャルスタジオ運用に必要不可欠な背景CGや各種素材の制作など、バーチャルコンテンツ制作サービスを開始しました。

瀬戸内海放送様のCG背景制作がきっかけ

朝日放送テレビ株式会社 技術局 制作技術部
株式会社アイネックス 伊田俊基氏(兼任)

朝日放送テレビ株式会社様のグループ会社である株式会社アイネックス様は、朝日放送テレビ様のバーチャルスタジオで使用するCG素材の制作をはじめ、美術製作を受託しています。このほど放送局、制作会社、企業向けに朝日放送テレビ様と共同でバーチャルコンテンツ制作サービスを開始し、朋栄はこのサービスと連携してバーチャル設備促進を図っていきます。

「制作サービス提供のきっかけは、朝日放送テレビの系列局である株式会社瀬戸内海放送様の高松新社屋バーチャルスタジオで使用するCG背景を制作したこと」と話すのは、アイネックスの伊田俊基氏です。

「弊社は以前から、朝日放送テレビのバーチャルスタジオのコンテンツ制作と運用の一部を担当してきました。高精細なUnreal Engine(以下、UE)のCG背景を活用できないかと検討していた時に、瀬戸内海放送様からリアルセットとUEを活用したCG背景によるハイブリッドスタジオの提案をいただきました。その後、2023年に朝日放送テレビの美術部門が弊社に移管されたことで、リアルセットとバーチャルセットを併用したハイブリッドなコンテンツも、より制作しやすくなりました。」

アイネックス様では、BrainstormのCG運用のしやすさ、UEによる高精細なCG、プログラマブルなUnityという各CGレンダラーのメリットを活かしながら、各社のコンテンツ制作から運用までをサポートしています。

バーチャルスタジオの活用をより増やすために

伊田氏はバーチャルコンテンツ制作サービスの狙いについて次のように話しました。

「バーチャルの背景CGは、制作者が限られる地方局やCATVで制作するのは大変です。しかも、地方局やCATVでは天井高が低い局も多く、リアルセットでは撮影する視点も限られています。バーチャルセットを活用すれば空間を拡張して広く使えるメリットがあります。バーチャル運用をより活用しやすく、番組品質をより向上できるよう、制作サービスの提供を考えました。」

すでに、朝日放送テレビ様の旅番組『朝だ!生です旅サラダ』やイベント番組『熱闘甲子園』において、アイネックス様が制作した背景CGが活用されているほか、テレビ大阪株式会社様や株式会社岩手朝日テレビ様のバーチャルCG背景、新製品発表会などの企業イベントや展示会コンテンツについても制作を担当しました。

「UEの活用は、Brainstormからのコントロールに支えられて使いやすいものになっています。UEは光の表現が高品質なことが特長ですが、地方局をはじめCATV、企業には細かく照明を設定できる人材がいないのも実情です。弊社は美術セットも手がけており、照明プランも含めてCGセットを提案できると考えています。」(伊田氏)

これまで、新しい背景CGセットを追加制作できずにバーチャル活用が滞ってしまうケースもありましたが、朝日放送テレビ様とアイネックス様によるコンテンツ制作から運用までの幅広いサポートが「バーチャルコンテンツ制作サービス」として提供されることにより、改めてバーチャル運用が活用される機会となっていきそうです。

株式会社アイネックス様にて制作されたバーチャルCG背景例。テレビ大阪株式会社様『やさしいニュース』(左)と株式会社岩手朝日テレビ様『スーパーJチャンネルいわて』(右)。いずれの背景もリアルセットとバーチャルセットとのハイブリッド

  • ご協力いただいた皆様の部署名、お役職は、インタビュー当時のものです。(2024年9月取材)

取材協力

朝日放送テレビ株式会社様
大阪府大阪市福島区福島1-1-30
TEL: 06-6458-5321(代)
WEB: www.asahi.co.jp

株式会社アイネックス様
大阪府大阪市福島区福島2-4-3 ABCアネックス 4F
TEL: 06-6452-2018(代)
WEB: www.i-nex.jp

お問い合わせ

株式会社朋栄
東京都渋谷区恵比寿3-8-1
TEL:03-3446-3121
E-mail: ad@for-a.co.jp

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