活用事例

プロ麻雀リーグ「Mリーグ」様 Mリーグスタジオ

ライブ配信にStarTrackerとBrainstormによるAR表現を活用

「Mリーグスタジオ」メイン機材としてHVS-490、EzV-300が採用

プロ麻雀リーグ「Mリーグ」様 Mリーグスタジオ

株式会社朋栄は、東京・浜松町にあるプロ麻雀リーグ「Mリーグ」のスタジオに、Mo-Sys社カメラトラッキングシステムStarTracker、バーチャルスタジオ/リアルタイムCG(RCG)システムBrainstorm eStudio、キャラクタージェネレーターEzV-300、ビデオスイッチャーHVS-490などを納入いたしました。Mリーグスタジオは、麻雀のプロスポーツ化を目指して2018年7月に設立された一般社団法人Mリーグ機構様が、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」(※)の試合を行うための専用スタジオとして運用。スタジオ構築にあたっては、株式会社サイバーエージェント様がシステム設計し、三友株式会社様が施工を担当いたしました。

放送クオリティで安定運用できる機材にてスタジオ設備を構築

「麻雀の社会的地位向上に加え、プロスポーツとしての魅力を伝えるため、これまでの『雀荘』のイメージから、よりスタイリッシュなものに変えていきたいと、専用スタジオを構築することになりました」と話すのは、スタジオ構築に関わった株式会社サイバーエージェント スタジオ運営センターの近藤信輝氏。スタジオ構築時の狙いについて「リアルタイムカメラトラッキングシステムを組み合わせたAR技術を活用しながら、選手情報や試合情報のテロップ出しにデザイン性のあるグラフィックスを使っていくことで、麻雀を新しい競技スポーツとして楽しんでもらえるようにしました。アメリカンフットボールやメジャーリーグなどをイメージした選手のロッカールームなども用意し、Mリーグ専用スタジオとして活用していきます」と話しました。

「本格的な麻雀番組を製作するために、これまで構築してきたスタジオより放送クオリティに近い機材を選定しました。各種信号処理系についても放送局と同等に、音声系も放送局に遜色ないレベルに仕上がりました。Mリーグスタジオは、本社や外苑前のスタジオとは距離が離れており、障害発生時にすぐに対応できないため、より安定運用が可能である機材であることも重要でした」(近藤氏)

毎日のCG 位置調整が不要になるトラッキングシステムとしてStarTracker を選択

プロ麻雀リーグ「Mリーグ」

Mリーグスタジオの広さは170m2。最大で4卓の麻雀卓を設置することを想定した広さになっていますが、今シーズンはスタジオ中央に設置された1 台の麻雀卓のみで運用しています。Mリーグの試合は、麻雀卓の周囲で各選手の手牌と表情を狙うリモートカメラが9 台、麻雀卓の真上から捨て牌を映すリモートカメラが1 台、スタジオ全景を写す小型固定カメラが壁面に1 台設置され、さらにクレーンカメラ1台が加わって、麻雀卓を取り囲むように設置された合計12 台のカメラで試合を余すところなく捉えます。

近藤氏は「毎日のCG 位置調整作業がいらないというメンテナンスのしやすさから、トラッキングセンサーはStarTracker の利用以外に考えられませんでした」と、日本で初めてスタジオ常設として活用されることになったStarTrackerについて話しました。

天井には天井高に合わせた大きさの反射マーカーが設置され、スタジオ内のクレーンカメラにStarTrackerのセンサーが取り付けられています。マーカー位置は事前にStarTrackerが記憶しており、センサーで捉えたマーカー位置と照合することでスタジオ内のカメラ位置、パン/ チルト/ ロールのカメラの向きがLANに出力されます。レンズには非接触型のセンサーが取り付けられ、ズーム/ フォーカスのデータも同時にLAN出力されています。このトラッキングデータをCG合成に活用することにより、動きのある映像にリアルタイムで追随するCG合成出力を得ることが可能になっています。

カメラの動きと連動したAR表現を実現するeStudioの送出をCG演出に活用

スタジオサブ:HVS-490でスイッチング、
EzV-300とeStudioをテロップに利用

今回、AR合成とRCG制作用に、朋栄のMBP-2422WSビデオボードが挿入されたBrainstorm eStudioが採用されています。

「eStudio は2式導入しています。それぞれをAR技術を使用した合成用と、麻雀の得点RCG制作用に分けて活用することで、演出の幅を広げようと思いました。普段から2式を利用することで、片方の機材にトラブルが生じた際には、得点表示用のRCG出力を優先して利用できるようにしてあります。現用予備の考え方で、冗長性を持たせました」(近藤氏)

Mリーグの試合に合わせた専用コントロールソフトは、株式会社テレビ朝日クリエイト様と株式会社テレビ朝日コーポレートデザインセンター様が制作しました。近藤氏は「AR/RCG送出コントロール画面については株式会社テレビ朝日様にも協力いただきながら、Brainstormのリアルタイム性を活かした得点CGを開発。動きの1つ1つにアニメーションを付けたりしてリッチな得点表示を行い、他番組との差別化を図りました」と話しました。

「麻雀は、数秒後には次の人が牌を打っていることが多いため、通常のカメラスイッチングをしながらも、必要なときに短時間で素早くCG演出を行うことが必要でした」と話すのは、スタジオ運営センターの岡平伸一氏。AR技術を使用した合成を使い、試合中の「リーチ」の宣言と同時に視聴者に知らせるCG 演出をワンアクションで入れられるように工夫しています。

「スピード感だけでなく、スケール感のある映像を狙いました。リーチした瞬間に視覚的な効果が入るようにしています。番組編集をするのであればカットと同時にテロップが入れられますが、ライブ制作ではカットした時に次のRCGが表示される演出は難しい。今回の演出は、一見すると、そこだけ編集したかのような印象を与えられます」(岡平氏)

リーチを表示するCG 演出は、eStudioに搭載されたMBP-2422WSが、ビデオウォールV1/K1、V2/K2の2系統を扱えることを利用。クレーンカメラの映像を使ってビデオウォールを出力し、ビデオスイッチャーでテロップを組み合わせた映像をeStudioに戻し、この合成されたビデオウォールを背景にスタジオ全景を映す固定カメラ映像を合成してからスイッチャーのキーヤーに出力しています。

「これまでは、得点などの各種RCG を消してから、リーチ時に使用するカメラに切り替え、そこにリーチのグラフィックスを被せ、そのグラフィックスを消した後に通常のスイッチング映像に戻し、最後に得点などの各種CGを戻すという一連の複雑な操作が必要でした。操作担当者ごとに連携する必要があり、操作に時間もかかってしまうので、リーチした人の次の人の動作を映せないということも多くありました。今回の方法を使うと、バーチャル側の映像が終われば通常のスイッチング映像が現れるので、試合の流れを全て伝えることができるようになりました」(岡平氏)

HVS-490 のマルチビューワー4K 出力を、審判や解説者向けのモニター出力にも活用

HVS-490のマルチビューワー出力を活用した実況室

スタジオサブに配置されたビデオスイッチャーHVS-490には、スタジオ内のカメラ12台に加え、実況室内にある小型固定カメラの映像が入力されています。テロップには、1台で2系統の送出が可能なEzV-300が選択されました。EzV-300は、番組配信中にテロップを変更したり、3D 効果を加えたテロップの作成に活用されています。EzV-300の2系統分のテロップと2台のeStudioからのV1/K1、V2/K2もHVS-490に送られます。

HVS-490のマルチビューワー機能を活用していることも特長。麻雀卓の周囲にある8台のリモートカメラ映像と天井カメラ映像、プログラム出力の映像を組み合わせて10画面マルチモニターとして4K出力し、スタジオサブ内での確認に利用するほか、審判室や実況室に向けても出力しています。

「最終のスイッチング映像だけでなく、スタジオ内にある複数のカメラ映像を同時に1枚の4Kモニターに表示できることは便利でした。審判室や実況室にも分配して出力しています。判定や解説/実況は、選手全員の表情や、手牌を確認できることが必要です。HVS-490にマルチビューワーが搭載されていることで、確認用のマルチビューワー機材を追加することなく各部屋での判定や解説が可能になりました」(近藤氏)

スタジオサブの最終映像は、放送局の番組制作ワークフローであればマスターに送られてから放送されますが、Mリーグスタジオではスタジオサブ内でライブ配信用にエンコードされ、AbemaTVの中継用サーバーに直接配信されています。

将来は、「AbemaTV」と他の事業者が同時に配信することも考慮し、Mリーグスタジオは、1つのスタジオサブの機材構成を2セットにして、2番組の同時制作にも対応できるように設計されていることもポイントです。

  • Mリーグは、一般社団法人Mリーグ機構が発足させたプロ麻雀リーグ。麻雀を競技化し、健全化を図ることで、麻雀自体の社会的地位の向上および認知の拡大、新たなファン層の獲得を目指しています。今シーズンは「大和証券Mリーグ」2018として10月1日に開幕し、7社が参加。各社3名のプロ雀士がチーム所属し、各チームで80試合が行われます。
  • ご協力いただいた皆様の部署名、お役職は、インタビュー当時のものです。(2018年10月)

納入システム 主な機材構成

スタジオ機材

  • カメラトラッキングシステム:Mo-sys社StarTracker

スタジオサブ

  • バーチャルスタジオ/RCGシステム:Brainstorm社eStudio(朋栄ビデオカードMBP-2422WS)
  • キャラクタージェネレーター:EzV-300
  • ビデオスイッチャー:HVS-490
  • コントロールパネル:HVS-492OU
  • マルチチャネルシグナルプロセッサー:FA-505

取材協力

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