朋栄製品技術 基本解説:グラフィックスソリューション

再度脚光を浴びつつあるバーチャルスタジオ

バーチャルスタジオは、クロマキー映像を3DCGのスタジオセットと組み合わせることで、実際のスタジオにいるかのような映像を実現する技術です。クロマキー映像から、キーとフィルを生成し、3DCGのスタジオセットに配置していきます。時には、背景のビデオウォールに別の映像を挿し込んだり、トピックスを表示するメニューグラフィックスを浮き上がらせたり登場人物の動きに合わせてグラフィックスを追加/変更したりするリアルタイムCGを追加することもあります。リアルタイムCGによる番組演出は欠かせないものとなりましたが、4K/8Kといった高解像度の次世代映像制作時代に入りつつある今、バーチャルスタジオも再度活用が拡がりつつあります。

1990年代後半、3DCG技術の向上とともに活用が始まったバーチャルセットとリアルタイムCG。SDからHDへの移行する段階において、スタジオカメラの動きやズーム操作に追随するための仕組みが作られていきました。SD解像度からHD解像度への移行は、スタジオセットやメイクの方法を大きく変えるものとなりました。スタジオセット構築時の釘・ネジの頭や、背景の塗りムラなど「これまでは映らなかったものが、高精細化で見えてしまう」ということが、スタジオ空間をCGで作り上げるバーチャルセットの活用を後押ししていた時代でもありました。

2000年代後半になるとファイルベース時代になり、PCワークステーションのCPU性能は向上し、扱えるメモリ空間も飛躍的に増大しました。3DCG技術は円熟期を迎え、反射や透過、光源やシャドウなどを自由に設定してリアルタイムにフォトリアルな映像を生み出すことが可能になってきました。2010年代は、GPUを活用した並列処理も行われるようになりました。従来のバーチャルスタジオでは、カメラが動ける範囲も限定されましたが、より大規模な3DCG空間を使うことも可能になり、カメラの動きやグラフィックスの演出もダイナミックなものが可能になりました。

フルHDから4K/8Kヘ。時代は次世代映像に移りつつあります。高解像度化はもちろんですが、広色域化、ハイダイナミックレンジ化による高画質化も進んでいきます。SDからHDに移行した段階よりもさらに「これまでは映らなかったものが、高精細化で見えてしまう」時代になりつつあります。いずれは、次世代映像に合ったスタジオセットやメイクの方法が生み出されていくことになるでしょうが、まずはリアルタイムCGでダイナミックな演出を加えつつ、実際のスタジオ空間に近いフォトリアルなバーチャルスタジオセットが活用されていく時代が訪れそうです。

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