MoIP制御監視ソフトウェアSOM-200シリーズを発表

株式会社朋栄（代表取締役社長：清原克明、本社：東京都渋谷区）は、IP制御監視ソフトウェアSOM-200シリーズを発表いたしました。SOM-200シリーズは、ブロードキャストコントローラー『SOM-200BC』とネットワークコントローラーオプション『SOM-20NC』、NMOS RDSソフトウェア『SOM-200RDS』とRDS フィルタリングAPIオプション『SOM-20RDS Plus』で構成され、それぞれを連携させることにより、Media over IPシステムコントローラー機能を実現します。

近年、Media over IP（以下MoIP）環境で使用されるIP方式は標準化が進み、SMPTE ST 2022-6、ST 2110によるメディア伝送とAMWA NMOS IS-04/05によるMoIP機器の参照と制御が活用されています。SOM-200シリーズは、これまでの標準化が進んでいく段階で各ベンダーが構築した既存MoIP環境を生かしながら、次世代のMoIP環境への段階的な移行を可能にし、既存のMoIPシステムを構築したベンダーに縛られないマルチベンダー環境を実現することを目指して開発されました。大きな特長に以下の4つが挙げられます。

① SMPTE、AMWAの標準に準拠したMoIP環境を追加できるようにする。
② 帯域管理/経路制御を行い安定したネットワーク運用を可能にする。
③ 既存のMoIP環境に手を加えることなく、アイランド/セグメントをまたいで機器リソースを共有可能にする。
④ 機器を使用する人的リソースの配置効率化も含めた制作ワークフローの改善を可能にする。

■ MoIPシステム全体の運用をサポートするブロードキャストコントローラー『SOM-200BC』
朋栄は2018年から、SDIとSMPTE ST 2022-6の変換を含むSDI/IP統合制御監視ソフトウェアSOM-100を提供してきました。今回、SDI環境とMoIP環境の統合を目指したSOM-100のワークフローを活かしながら、SMPTE ST 2022-6、ST 2110およびNMOS IS-04/05に完全対応させたブロードキャストコントローラー『SOM-200BC』を提供します。

SOM-200BCは、使用者の役割に応じて権限を設定できるユーザー管理機能を搭載し、複数アイランドのシステムを統括的に管理し、運用を支援します。使用中の機器や共有可能な機器を視覚的に分かりやすく表示するGUIを採用したことにより、ネットワーク技術者による設定/運用/メンテナンスだけでなく、あらかじめ設定した機器構成を制作者が切り替えて運用できます。

さらに、指定時間にマトリクス切替を行う回線ブッキング機能や、SDIルーター、ゲートウェイ、マルチビューワーなどの機器制御、タリー、機器制御用リモコン割り付けなどのオプションを設定しています。NMOS機器の仮想化や、複数の仮想マトリクス作成により、さまざまなワークフローに対応でき、フレキシブルに機材の変更や追加が可能です。回線設備、ライブ制作、CG制作、ファイルベース運用も含めた制作ワークフロー全体でMoIP機材の統合管理/制御が可能となりました。

SOM-200BCは、耐障害性を担保するため複数を使用したクラスタリング構成をとることができ、障害発生時にはシームレスに制御が切り替わります。SOM-200BCには5台分の被制御機器ライセンスが含まれますが、MoIPシステム規模に応じたSOM-20DEVオプションで機器台数分/複数モジュール数分のライセンスを追加し、SOM-200BCの制御範囲を拡大可能にします。

品名：	ブロードキャストコントローラー	制御対象機器追加オプション	ネットワークコントローラー オプション
型名：	SOM-200BC	SOM-20DEV	SOM-20NC
発売時期：	2024年秋	2024年秋	2024年秋
価格：	システム構成による	10万円(税別)	150万円(税別)
備考：	MoIP環境で使用する機能に応じた カスタマイズ提供となります。 主系/従系いずれにも使用可能です。 被制御機器用ライセンス5台分を含む。	制御機器/モジュールを追加 するSOM-200BC用オプション。 追加機器/モジュール台数に応じ、 主系用/従系用それぞれに必要。	ネットワーク帯域制御、経路制御の SOM-200BC用オプション。

■ MoIPシステムのパケット送受信を円滑化するネットワークコントローラーオプション『SOM-20NC』
SOM-200BCと連携して動作するオプションの1つに、ネットワークコントローラーオプション『SOM-20NC』があります。

SOM-20NCは、ネットワークスイッチ間の帯域を管理しながら、パケットが帯域を超えないように経路制御を行うことで使用する帯域を分散させ、ネットワークを最適化します。さらに、IGMP/SSMプロトコルにより、想定外のMoIPデバイスからのパケットをブロックして、パケットフローの発生を抑えるためのフィルターも実装。安定したネットワーク環境を実現します。

■ ST 2110環境のMoIP機器を管理するNMOS RDSソフトウェア『SOM-200RDS』
ST 2110で組まれたMoIPシステムの運用においては、RDS(Registration and Discovery System)が必要不可欠です。各アイランド/セグメントにあるブロードキャストコントローラーは、RDSに登録、管理されているMoIP機器リソースのIPアドレス情報を参照しながら、MoIP機器を制御しています。このMoIP機器を登録/管理する標準RDSとして、SOM-200RDSを提供します。

SOM-200RDSは、RDS フィルタリングAPIオプション『SOM-20RDS Plus』を追加することにより、共有機器リソースのみを登録するためのRDSとして機能し、共有機器リソースを複数のアイランド/セグメント内のMoIPシステム環境でシェアする『階層型RDS』(Hierarchical RDS、略称Hi-RDS)の仕組みを提供します。

品名：	NMOS RDSソフトウェア	RDS フィルタリングAPIオプション
型名：	SOM-200RDS	SOM-20RDS Plus
発売時期：	2024年秋	2024年秋
価格：	60万円(税別)	140万円(税別)
備考：		階層型RDS機能を追加するための SOM-200RDS用オプション

■ マルチベンダーシステム間のリソースシェアを実現するRDS フィルタリングAPIオプション『SOM-20RDS Plus』
SMPTE、AMWAにより標準化が進められているMoIP環境ですが、放送局の設備全体を同時にMoIPシステムへと更新することは、放送局施設を新規に構築するケースに限定されます。そのため、ベースバンド機器の更新タイミングに合わせて設備をMoIPシステムに変更したり、既存MoIPシステムから標準化されたMoIPシステムへの更新など、設備の耐用年数に応じて順次システムの入れ替えが行われています。

MoIPシステムはこれまで、システムを設計・構築したベンダー各社それぞれの設計思想に応じたブロードキャストコントローラーやRDSが活用されてきました。そのため、新規システムを追加導入するためには、既存のブロードキャストコントローラーやRDSの設計変更が必要になり、最初にシステム構築したベンダーに依存した「ベンダーロック」でのシステム構築が必要でした。

朋栄は、SMPTE ST 2110およびNMOS IS-04/05に対応した各社のMoIP機器を自由にワークフローに組み込んで活用し、より汎用で使いやすいMoIPシステムを構築することができるよう、SOM-200RDSのオプションとして、RDS フィルタリングAPIオプション『SOM-20RDS Plus』を開発。このSOM-20RDS PlusオプションをSOM-200RDSに組み込むことにより、次世代のリソースシェア環境を実現可能な『階層型RDS (Hi-RDS)』環境を提供します。

階層型RDS (Hi-RDS)の仕組み

SOM-200RDS/SOM-20RDS Plusによる階層型RDSは、NMOS標準規格に準拠した動作でリソースシェアを実現していることが大きな特長です。既存のMoIPシステムがNMOSに対応してさえいれば、あとから階層型RDSの仕組みを取り入れて共通機器リソースのシェアリングを実現することも可能です。

階層型RDSは、SOM-200RDSがリソースシェア対象となる共有機器の一次登録先としてのプライマリーRDSとなり、共通機器リソースを利用するアイランド/セグメント内にあるベンダー各社の標準RDSをローカルRDSとする階層構造を採ります。SOM-20RDS Plusは、プライマリーRDSに登録された共通機器リソースのなかから必要とされる機器情報だけをフィルタリングして、ローカルRDSに割り当てる動作を行います。各アイランド/セグメント内にあるブロードキャストコントローラーは、ローカルRDSに登録された共有機器情報をもとにしてNMOS IS-05での制御が可能となりますので、既存システムを変更することなくリソースシェアを実現します。

SOM-20RDS PlusによるローカルRDSへの機器リソース割り当て